一緒にパーティーしようぜ!!
最後に、この記事をお読みの世界のコスプレイヤーに向けて、アニクラ大好き梨人さんならではのメッセージをもらった。
「外国のコスプレイヤーさんたち、ぜひ日本のイベントで一緒にコスプレしましょう!もちろん僕も海外のコスプレイベントに行ってみたいと思います。そして、そのままパーティーして飲んで歌って盛り上がりましょう!」
2020.06.09
KAITOの名曲「しねばいいのに」を彷彿とさせる爽やかな笑顔な梨人さん
今回は男性コスプレイヤーさんへの初のインタビューということもあり、ちょっとドキドキ緊張している我々の前に現れたのは品行方正な金融関係ビジネスマン。いい意味で砕けてない。え??コスプレイヤーさんってこんなスマートな雰囲気だったけ??と、もともと持っていたイメージを照らし合わせる。
「ふははははは・・・待たせたな!我、参上せり!!」とか「みんな〜いい子で待ってたかい☆」とか言って登場してくるものかと思っていたが、大いなる偏見というものだったようだ。
しかし・・・ひとたび突き抜けるような青髪のウィッグを被ればVOCALOIDのKAITOへ変身。燦々と輝く太陽のような笑顔・・・思わず「兄さん」と言ってしまいそうだ。あのマジカルミライでも演奏された名曲「あったかいと」を地で行くようなお人柄に、我々もキュンキュンしっぱなしである。
そんなKAITOそのものとも言えるコスプレイヤー梨人さんのコスプレ人生の軌跡を聞いてみた。
「最初は自分がコスプレをするつもりなんてなかったんですよ。でも、オフ会で意気投合した友人とたまたまとあるクラブイベントに行くことになったんですね。クラブって言っても、サラリーマンが接待でお酒を飲むようなところじゃないですよ(笑)。ヒップホップとかのイメージが強いクラブですね。でも、アゲアゲウェ〜イみたいな人がいるようなクラブイベントじゃなくて、アニクラです。アニソンクラブの略で、アニメソングとかボカロ曲が流れるようなところです。場所は渋谷とか表参道とか若者の街って感じですけど、お客さんはコスプレをしている人もいればヲタ芸を打つ人もいて。100人くらいの人が集まるので、熱量はモノスゴイですよね」
笑顔とは裏腹に、卑怯なKAITOも演出。パッと表情を変えてくれるところにコスプレイヤーとしても深みを感じる
アニメ好き、ボカロ好きが集まれば、自分の中でくすぶっていた種火に一気に火がつくものである。梨人さんも同様に、内に秘めていた魂が燃え上がったそうだ。
「初めて手を出したコスプレは、ストリートファイターⅣの火引弾。作中は、メインキャラのリュウやケンと比べて強さはイマイチだけど・・・でも憎めないやつというか(笑)。それが今から10年くらい前だったかな。その4年後くらいにVOCALOIDのKAITOをやるようになりましたね。今ではもう、コスプレ仲間内では梨人はKAITOって定番にしてもらっています。コスプレ衣装は30着くらい持っているんですけど、その中でKAITOだけでも10着。VOCALOIDの中の一人のキャラクターって言っても、曲によっていくつも衣装の種類がありますからね。今着ているものなんかは自作なんです」
世の中、手芸は女性の趣味だと思われがちだが、コスプレ界隈では一切そういったことはなく、自分が求めるものならば自分で作り上げるのだそうだ。
「衣装の作り方とかインターネットで調べたり、あとは型紙なんかも無料で配布されていたりするんですよ。自分で調べて自分で作って、苦労するから愛着が湧くっていうのもありますよね。僕の自作コスプレ衣装の中で、特にこだわって完成したのがYs(イース)シリーズのアドル=クリスティンという主人公の鎧です。KAITOじゃなくてすいません(笑)。ソフトボードという素材から作るんですけど、切ったり曲げたり本当に苦労しました。Ysは子供の頃から大好きなゲームなだけあって、装着した時は感無量です。実は、Ysシリーズのコスプレ衣装はなかなか市販されていなくて、自作しなくちゃってことが多いんです。そんなわけで、Ysのコスプレイヤーさんたちは熱量がスゴイですね。逆にVOCALOIDのコスプレは、市販品も多いので初心者の方でも入りやすいと思います」
梨人さんの力作!Ysシリーズ「アドルの鎧」。防御力も高そうだ!
自分で鎧まで作り上げてしまう梨人さん、ビジネスマンから鍛冶屋に転職してはいかがか?とツッコみたくなるがそこは我慢。そのコスプレ熱は普段の生活でもオープンなのだろうか。
「さすがに堂々とコスプレイヤーです!とは公言していないですね。いつの間にかバレたらちょっと恥ずかしいかもしれません。ただ、悪いことをしているわけじゃないし、好きなものは好き。人に聞かれたら堂々とコスプレイヤーですって答えますよ。ちなみに・・・あるイベント帰りに会社の同僚にたまたま会っちゃったんです。こっちはコスプレ衣装の大荷物。あ〜・・・バレちゃうかなぁなんて思っていたら、相手もトランクケース引いてて。あれ?オタクも?あぁ、はい僕もですよ。みたいな(笑)。それからは、その同僚と会社でより仲良くなれました」
あの日の思い出を振り返り中。運命のイタズラって本当にあるんですね
まさに運命のイタズラではあるが、社会の中でコスプレ認知が広がっている昨今、もはやアンダーグラウンドな趣味の域を出ているのかもしれない。と同時に、自分もやってみたい挑戦したいという人もどんどん増えていると予想できる。
「やりたい人はまずやってみて!と言いたいところですが、それができないから悩んでいるんですよね。そんな時は、悩みを書き出してみてください。衣装がないのか、何のキャラクターをやりたいのかなどなど、そんな問題を一つずつクリアにしていけば、きっと実現できるはずです。いきなり飛び込むのは勇気がいることなので、一歩一歩着実に進んでいきましょう。そして実際にイベントに参加して仲間作りです。一人で家の中でコスプレをするのも楽しいですが、やっぱり僕は熱を共有できる仲間と一緒に世界を広げていきたいなって。緊張するかもしれませんが、イベントに行って他のコスプレイヤーさんたちに、写真いいですか?って声をかけてみてください。きっと快く対応してくれると思いますよ」
衣装を作ったり仲間ができたり・・・想像するだけでワクワクするコスプレライフ。だがしかし、特に男性が頭を抱えるのがメイクではないだろうか。
「当たり前ですけど、僕もコスプレをするまでメイクなんてしたことありませんでした。でも、周りの人たちのメイクを見て、道具を揃えてまずは見様見真似でやってみたんです。あとは仲間内で集まってカラオケとかでメイクの勉強会をしましたね。コスプレメイクって、普通の女性のメイクと違って明確にコレって決まっていることが多いので、男性でもやりやすいと思いますよ」
KAITO兄さんに惚れる一枚
最後に、この記事をお読みの世界のコスプレイヤーに向けて、アニクラ大好き梨人さんならではのメッセージをもらった。
「外国のコスプレイヤーさんたち、ぜひ日本のイベントで一緒にコスプレしましょう!もちろん僕も海外のコスプレイベントに行ってみたいと思います。そして、そのままパーティーして飲んで歌って盛り上がりましょう!」
Writer
佐藤志郎
2010年に広告制作会社を立ち上げる。主要な取引先は通信販売会社であるため、得意分野はダイレクトレスポンス広告。