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2021.12.11

【ボカロP:やみくろ】求め続けた声の先にあった場所

 

まだまだ『初音ミク「マジカルミライ」2021』の興奮冷めぬ。今年のライブも盛り上がった「らしい」な!!あの曲も演奏されちゃった「らしい」な!!

 

らしいな!

 

らしいな!!

 

らしいな!!!

 

今年は入浴剤の店頭販売に全力を尽くしていた我々。

 

目を閉じれば昨日のことのように思い出す『初音ミク「マジカルミライ2020」』のライブの光景を・・・。中でも印象的だったのが巡音ルカさんが歌い上げたあの曲!!『完全性コンプレックス』である。

 

そう、今回のインタビューは・・・巡りに巡って不思議なご縁でお会いすることができたボカロPのやみくろさんだ!!

 

やみくろさんおなじみのアイコン!実は「やみくろ」のひらがなを合体させたもの。

 

 

マジカルミライの反響に驚き!!

「ありがとうございます、マジカルミライの反響ってやっぱりすごいですね。『完全性コンプレックス』はマジカルミライ2020で演奏してもらった時点では9年半くらい前の曲だったのですが、たくさんの人に知ってもらうことができました。実は、1stアルバムを作る時に『欲しい人にちゃんと届くように一生売り切れない枚数を作ろう』と考え、千枚単位で発注して、それまでは10年経っても余るだろうくらいだったのが、足りないって悩みが出てきました。ラッキーボーナスですね(笑)」

 

いやいやいや、ラッキーだけでマジカルミライに曲を採用されるわけもなく・・・やはり心に響く、というか染み渡る名曲だからでしょう!!

 

完全性コンプレックスのサムネイルイラスト。

 

 

待ち続けた声がついに・・・

ご存じの方も多いだろうが、やみくろさんは巡音ルカさんを使用した楽曲が多い。

 

「今まで70曲ほど投稿してきましたが、その内の65曲くらいはルカさんです。その理由は声。記憶が定かではないですが、もともと『メルト』を聞いて初音ミクを知ったと思います。当時はバーチャルアイドルという印象で、あくまでミクが歌っている、ミクの歌という曲が多かったような気がします。なので、自分の曲には合わないと思って、一時はUTAUというソフトを使っていたんですよ」

 

UTAUで自身の曲にあった音声を探し、歌わせる日々。その後に発売されたのは・・・

 

「鏡音リン・レンが出ましたね。ロック寄りだったりかわいい曲が合いそうな声だって感じたので、これも合わないなと・・・」

 

初音ミク、鏡音リン、鏡音レン・・・話題になるキャラクターたち。楽曲の投稿数もうなぎのぼりである。それでもやみくろさんは待ち続けた。

 

「今でもミクを買っておけばよかったのにって周りから言われることもありますよ。でも待ち続けたかいがあったんです。ついにオレの求める声が来たぞ!!って思いましたから」

 

巡音ルカの登場である。

 

 

 

出会った直後の苦労とは?

ほしかった声をついに手に入れたやみくろさん。まさに黄金コンビ結成の瞬間といっても過言ではない。これから次々と名曲が生み出されることに・・・?

 

「いや、ルカさんはとても調声が難しかったんです。音量のバランスや聞き取りにくい音もあったりして本当に苦労させられました。それでも変なリアルを追求するのではなく、聴きやすさを追求することを心がけてきたんです」

 

たしかにやみくろさんの楽曲におけるルカさんの声は、人間だとかボーカロイドだとかそういうくくり関係なく伝わってくる。

 

「元々はルカさんは自分の代弁者。ひどく言えば楽器に近い。良く言えば、自分が言いたいことを伝えるためのプロジェクトの女性ボーカルという立ち位置でした。それが、ここまで使ってくると愛着と言うか・・・ルカさんを愛していますね」

 

あぁ・・・これはきっと聞き手である我々には本当の意味で理解できない感覚なのだろう。

 

2021年11月29日に投稿された最新曲『/féɪnt/』のサムネイルイラスト。やみくろさんの優しいメロディー。ルカさんのしっとりとした声、心地よく揺らぐピアノ・・・間違いなく必聴すべき一曲だ。

 

自分の感情が曲になって流れ出す

さて、そんな愛に溢れたやみくろさんの楽曲について聞いていきたい。まずは曲の作り方である。

 

「それは、時と場合によりますよ。一番多いのは、サビメロと歌詞が一緒に出てくる」

おおっ!!それは所謂「降りてきた!!」ってやつなのだろうか。

 

「いや、全くそういうものじゃなくて、普段から歌詞を書き溜めてあるんです。日々思ったことをストックして、思ったことをメモして、何度も何度も続けていると同じような感情がその記録の中に積み上がっていくんです。で、オレこれが言いたいんだってことが出てくる。それが思い浮かんだメロディと合致するってイメージでしょうか」

 

まさに積み重ね・・・やみくろさんの曲は、やみくろさんの分身ということだ。

 

「『完全性コンプレックス』の時も、溜めてた歌詞がシュッと収束したという感覚です」

 

つまり、偶然生まれた名曲ではなく、必然として生まれるべくして生まれた曲なのだろう。

 

「だから曲のベースができるまでは数時間でした。ただ、詰めにとても時間がかかりましたけど(笑)」

 

やみくろさんの作曲スペース。

 

 

 

最底辺から駆け上がろう!!

自分の感じたことや趣味嗜好を音に乗せて発信する・・・それは一昔前に比べ格段に容易になった。だからこそ、これからボカロPとして活躍していきたいと望む者たちも多いだろう。

 

「そうですね、ボカロへのハードルも下がった今、もともと作曲がうまいやつがどんどん出てきてる。そして、そうでないやつとの差がマイリストや再生数で明らかになってしまう。でもね、スキルなんてやっていけば付く。ボクなんて最初の投稿はマイリストが10いかなかったし、再生数も50程度。それでもマジカルミライにたどり着きました。お互い、最底辺から駆け上がっていきましょう!!」

 

これはなんと心強いお言葉!!

 

「数字が伸びなかったとしても、見てる人は見てくれていますよ。ボクであれば、ルカさんばかりを使い続けてたこととか再生数ではないところで評価をしてもらったりもしました。だから、思うように伸びなくてもしょげてないで、それでも頑張ってるってところを発信していきましょう!そんな人が共感される人なんだと思いますしね。そしてどんどん個性を出していってください。ボクも一緒にがんばります!!」

 

最後にアドバイスまでいただけたやみくろさん、ありがとうございます!!この背中を押す言葉、まるで曲を聞いているよう。ボカロP目指してる皆さん、完全なもんじゃなくていい、等身大の曲を我々リスナーは待ってます!!(完全性コンプレックスの歌詞、パクらせていただきました)

 

2021年8月29日で『完全性コンプレックス』が10周年!それを記念して、セルフリメイクが投稿された時のサムネイルイラスト。

 

 

●やみくろ

 

Twitter:@yamichrome

 

You Tube:https://www.youtube.com/c/yamichrome

 

KARENT:https://karent.jp/artist/pp000656

 

 




Writer

佐藤志郎

2010年に広告制作会社を立ち上げる。主要な取引先は通信販売会社であるため、得意分野はダイレクトレスポンス広告。


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