2020.12.09
【コスプレイヤー:西妻】一人勝ちはしない!日本のコスプレを牽引するフロントマンへ
男の中の男なコスプレイヤー
同性すらも虜にする魅力・・・「男の中の男」とは、人によって定義やイメージがそれぞれかも知れないが、それでも今回紹介するこの男は「男の中の男」だ。
コスプレイヤー・オブ・ザ・イヤー2021のチェリー部門(男性/男装)のグランプリ西妻氏である。一つの頂点を極めた今、そこから見る景色はどんなものなのだろう。西妻氏の眼に映る未来とは一体――
呪術廻戦/五条悟(カメラマン:cozy:/Twitter:@cozy1215)
「グランプリとか優勝とか言ってもらえますが・・・実は頂点とかそんなことではないと考えているんです」
と語り始めた西妻氏。いや、グランプリは立派な一つの頂点だろう。まだまだ勝ち星が足りないというのだろうか。
「というわけではなくで、今回のグランプリって、ある意味男性コスプレイヤーのフロントマンとして立たせてもらう機会をいただいたって認識なんですね。コスプレって文化が一般に浸透してはきましたが、それでもまだまだ理解を得られていない部分も多いと思うんです。例えば、女性が多いコスプレ界隈。その中に男性が入っていくと、やっぱり男女関係のいざこざは起こりやすいものですし、実際にないとは言い切れません。そのため、本気で好きでコスプレしている男性コスプレイヤーも一部の下心を持った人のせいで、偏見を持たれてしまうんです」
なるほど、グランプリを獲得した西妻氏の言葉だからこそ、一層の重みが増す。見られる立場からの、こうしたキワドい発言は波風を立てることもあるだろうし、自らの立ち居振る舞いにもより身を引き締めなければならない。
「もちろんです。人それぞれに価値観はあるけれど、僕はまず多くの人にクリーンなイメージを持ってもらいたい。その土台を作りたい。そのためにも、グランプリを獲得して、取材を受けたりSNSのフォロワーが増えたりなどもありましたが、それに驕らずに、支えてくれる人や応援してくれる人たちを大事にして、裏切らないようにしなきゃなって思ってます」
この男・・・全く浮かれていない。なぜこの男性/男装コスプレイヤーの頂点という勲章を、一つの通過点のように考えられるのだろうか。その理由は、女性/男装コスプレイヤーへのリスペクトへあった。
女性だからこそできるカッコよさを超えるために
「男性コスプレイヤーって、女性コスプレイヤーさんに頼ることがとても多いんです。メイクや裁縫技術、そしてカメラマンさんへの接点などなど。どうしても男性同士だとコミュニティが小さくなりすぎてしまうという問題があるんですね」
呪術廻戦/五条悟(カメラマン:cozy:/Twitter:@cozy1215)
なるほど・・・非常にありがたい話ではあるが、それだけで尊敬という言葉に値するのだろうか。
「それだけじゃありません。まず、男装している女性コスプレイヤーさんって、実際の男性よりも男性らしく魅せることができるんです。コスプレって、どうしても2次元に寄せていくじゃないですか。作品によってですが、2次元の男性キャラクターは3次元の女性の理想のカタチの一つだと思うんです。だから、男性コスプレイヤーよりも表現がモノスゴイ上手。また、女性ならではのメイクの技術や肌質なんて、足元にも及びません」
西妻氏の言うことも至極当然だ。女性人気の高い男性キャラクターのコスプレをするなら、女性が男装する方が抑えるべきポイントも外さないのだろう。
犬夜叉/殺生丸
「ただ、それじゃ男性コスプレイヤーの発展にはつながらないんですよ。女性でも男性でも、男装のコスプレをする人たちが、男性コスプレイヤーから学べるようになっていけるようになってほしい。いや、していきたい!」
思わず「着いていきます、アニキ!!」と言いそうになってしまう。西妻氏の男らしさ、かっこよさは発言だけではない。なんと身長185cmのスラッとした長身スタイルの持ち主だ。ただ、それ故に悩みもあったのだと話す。
長身だからこその悩みとは?
「正直、背の低いキャラクターにも憧れます。以前は、身長の問題でコスプレするのを断念してしまったこともありました。ただ、今は新型コロナの影響で自宅にいることが多いですから、逆に人目を気にせず何でもやってみようってことで、色んなコスプレに挑戦し始めたんです。背の低いキャラもそうですし、女装もしました。楽しいですね!!可愛らしさや肩幅をせまく見せるポーズの練習とか新鮮でした」
ヒプノシスマイク/白膠木簓
ヒプノシスマイク/飴村乱数
こんな時代だからこそできる新しい挑戦。その姿勢は見習いたいものだ。そんな西妻氏が今、驚異に感じていることがあるらしい。
世界に誇れる日本の文化を発展させていきたい
「コスプレを始めとした同人文化って世界中にありますが、やっぱり先端を走っているのって日本だと思うんです。でも、今は海外勢がスゴい。海外のコスプレイヤーがどんどん日本に来て、衣装のクオリティも上がっています。その反面、日本のコスプレは楽しむっていうよりSNSのいいね!の数の比較だったり、あいつがあの子が~なんて言い合ったり。争ってる場合じゃないですよ!僕たちもどんどん出ていかないと!!今は実際に行くことは難しいけど、一丸となって日本の文化として発信していかないと、いつか逆転されてしまうんじゃないかと思っています」
銀魂/坂田銀時(カメラマン:AK/Twitter:@akakabeuti )
1位じゃないとダメなんですか?2位じゃダメなんですか?なんて昔聞いた言葉だが、最先端を走り続けて世界をリードすることこそ、文化の発展に繋がるもの。西妻氏の言うことも一理ある。
BLEACH/市丸ギン(カメラマン:テラ/Twitter:@TeRa_CodeA )
「グランプリを獲って一人勝ちなんて思っていません。僕は全てのコスプレイヤーを応援しています。そして、日本のコスプレイヤー全員をどんどん引き上げていき、さらに未経験者がコスプレを始めやすい環境も作りたい。コスプレの永続的な発展・・・これが僕の目標。そして2022グランプリの人にもバトンとして受け取ってもらえたら嬉しいですね」
余談だが、西妻氏はアニオタを公言する。アニメの制作会社や作画・音響監督など、誰がどう作っているかというレベルでの会話に飢えているそうだ。我こそは!!という人がいたら、ぜひ西妻氏のSNSをフォローしてもらいたい。
鬼滅の刃/鬼舞辻無惨(女装)
●西妻
Twitter:@nazuma00
Instagram:yamiyami09
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Writer
佐藤志郎
2010年に広告制作会社を立ち上げる。主要な取引先は通信販売会社であるため、得意分野はダイレクトレスポンス広告。