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2023.08.30

【アニメ道_Vol.03】アニメの社会的地位が向上するにつれ仕事環境も超改善!?【アニメーションディレクター:田仲マイケル】

 

日本のアニメであっても、その映像の多くが海外で作られているということを知った我々。そこで今回は、アニメ「制作」ではなくアニメ「業界」の現状を知るべく、アニメに関しての「なんでも屋」とも言われているとある人物にアポイントをとりました。

 

 

倍々に増え続けるアニメ制作案件

「まず、アニメ作品の本数は2000年から2010年で倍に、そして2020年ではさらに倍に増えているってご存じですか?」

 

と話し始めてくれた田仲マイケルさん。キーアニメーターやアニメーションディレクター、そしてプロデューサーとしても活躍されています。つまり実に多くの立場・目線からアニメ制作に携わられており、まさに業界を俯瞰できる人物のお一人。

 

そんな田仲さんが「世界的にアニメ作品が増えると同時に、業界にも変革が起き始めている」と言うのです。

 

「まず、あまりキレイな話ではないかもしれませんが、お金のこと。今から約10年くらい前までですかね、例えばアニメーターは一枚描いていくら・・・という一枚単価での給料しかもらえませんでした。確かに描く枚数によってほど収入は増えるのですが、実際の価格は安く、仕事に慣れ始めてきてやっとギリギリ生活できるかできないかくらいしかもらえなかったんです。それが今では月給制を選択することもできますし、もちろん一枚単価の値段もどんどん上昇しているんです。アニメ制作の人件費で言えば、アニメの本数と比例して倍になりましたね」

 

仕事中の田仲マイケルさん

 

人がいない!アニメが作れない!だったら育てれば!?

「アニメーターの労働環境が向上しても、それでも日本国内だけでは全くまかないきれないほどアニメの制作案件が増え続けているんです。作りたいけどアニメを描いてくれる人がいない・・・そこで国内大手の制作会社はもちろん海外に目を向けていて、ベトナムやタイ、フィリピンに支社を設立してしまうということもあるんですよ」

 

おおぉ・・・スケールがでかい。

 

「アニメ制作技術に関しても、海外のレベルは上がり続けているんです。例えば中国ですが、日本のアニメ会社が30年間発注し続けてきましたからね。日本の技術は吸収されてしまっていると言えるかもしれません」

日本が誇るアニメ制作文化や独自の手法がこうして海外に流れてしまうのはいいことなのか否か・・・アニメ全体の質の向上を考えれば致し方ない部分もあるのかもしれない。

 

「なのでアニメ制作に関して日本国内で行われていることは、企画・立案とコアな制作・・・料理で言えば盛り付けにあたる仕上げの部分くらいなんです。とは言え、全て海外に任せてしまっては、日本の人材が育ちません。そのため、私のようなアニメ業界関係者が集まって技術を伝え、実際に仕事を斡旋する教育機関のようなものも立ち上げているんです」

 

なるほど、アニメ制作の下積み経験がありアニメ文化の未来を担う若者たちが日本国内からいなくなってしまっては本末転倒なのかもしれません。

 

「大工さんで言うなら、私たちは親方の立場ですかね。釘の打ち方もわからない子を雇って、基礎の基礎から教えていくようなイメージ。それを経て、自分なりにアニメに対してどんな分野で関わっていくのか選択してもらうという流れです」

 

親方と弟子の関係・・・言い得て妙というやつでしょう。仕事があるけど人がいない、それなら育てて一人前になってもらう。そこれによって強固な人間関係も築けるというわけです。

 

アニメ業界における次世代の人材を育成中

 

 

可能性が広がり続けるアニメーション業界

「インターネットのオンデマンド配信が普及し、爆発的にアニメを視聴する人が増えました。昔は、アニメは子ども向けという認識の人が多くいましたが、今では40代50代でも普通にアニメを見る時代です。これはインターネット上の交流が盛んになって、アバターやアイコンを相手の顔としてやりとりするようになったからだというのも一つの理由だと思います」

 

たしかにアニメ黎明期に比べ、アニメーションの世界に感情移入しやすい環境が整っていると素人ながらにも実感します。

 

「また、今までのアニメはテレビ番組として放送されていたので、スポンサー企業から制作料金を出してもらい、それ以外はグッズ販売しか収入がありませんでした。それが現在では、インターネットで再生される度に料金が発生する仕組みになっています。これは今までグッズなどを購入しなかったカジュアルなアニメファンからも視聴の対価をいただけるということにつながるんです」

 

コア層以外からの収入源を獲得し、純粋に作品の視聴という当たり前の成果を手に入れられるようになった今、これからもアニメ業界は盛り上がり続けるに違いありません。

 

「描きたいという意志があれば、思いっきり飛び込んできてほしい。そこに国籍・人種は関係ありません。一緒に2Dアニメーションを盛り上げていきましょう!」

 

「一緒にアニメ業界を盛り上げよう!」この写真の指の先にいるのはアナタだ!!

 




Writer

小川恭平


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