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2021.04.06

同人誌の通販事情とその変遷について

 

今でこそ匿名配送や書店委託、振り込みの多様・簡略化等、便利に発達している同人誌通販だが、そこには長い歴史と変遷があることをご存じだろうか?

 

今回は、そんな同人誌通販の世界とその変遷に注目していきたい。

 

 

自家通販がメインだった昔の同人世界、サークル代表者の住所を公開していた

皆さんは、同人誌に奥付をしっかり記載しているだろうか?

 

奥付は1893年、出版法で記載が義務づけられたものだ。同人誌の場合は、その本の発行に関しての責任者を明らかにする意味合いを持つ。インターネットや同人イベントが今ほど普及していない頃、同人誌の頒布は自家通販がメインだった。

 

漫画情報誌やアニメ情報誌に同人誌紹介コーナーがあり、このコーナー宛てにサークル側が同人誌の見本誌を提出し、編集部の方で紹介するのだが、この時に普通に奥付の住所が掲載されていた。

 

読者はこれを見て、見本誌に記載されている住所に連絡し、サークルと直接取引をして、お目当ての同人誌を手に入れるのだ。

 

個人情報保護法が2003年に成立、2005年に全国的に施行されて以降は、個人情報保護のため、奥付に直接住所を書くという文化は衰退し、代わりにサークル代表者のメールアドレスやSNSアカウントを記載するようになった。

 

また、個人サイトでの自家通販から移行して、通販用のポータルサイトの利用や、書店委託などが広まっていった。

 

 

 

 多様化してゆく現在の同人誌通販

このようにして、インターネットの発達により、現在の同人誌通販は、より便利で多様に進化している。以前はイベントの開催する都道府県まで自力で買いに行かなければ無かったが、今はネットに繋がる環境さえあれば、地球上何処に居てもお目当ての本が手に入るのだ。

 

代金の支払い方法も、最寄りのコンビニで『ついで』感覚で簡単に振り込む事ができ、この気軽さが通販の利用者数を助長している。

 

また、昨今の新型コロナウイルスで外出が自粛される中、こうした通販サービスは大いに活躍しており、最近では、サークル側、購入者側が共に住所を明かさずに商品をやり取りすることも可能になった。匿名で購入できる安心や気軽さから、住所を公開してやり取りをしなければならなかった従来に比べて、自家通販を活用しての購入者が増えたという話も聞いている。

 

まだまだ気安く外に出ることが憚れる今、インターネットを介した同人誌通販は、新たな萌えの助け船となるのかもしれない。

 

 




Writer

花宮智子

同人小説サークルでコミケ等の同人イベントに積極参加中。得意分野はBL・小説を主とするオタク文化。猫とぬいぐるみグッズ好き。


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