2021.05.12
【コスプレイヤー:あず姉】こだわりの衣装を煮詰め続けてアップデート
コスプレイヤーの性別は本当にわからん
コスプレイヤーさんって、写真や名前からじゃ性別がわからないもの。今回インタビューを受けてもらったあず姉さん、う~ん・・・メンズ?レディス?なんて話をしていた時・・・「こんにちは~」とイケメンボイスが鳴り響いた。
メンズだ!!
【黒執事】グレル・サトクリフ(カメラマン:cozy/@cozy1215)
「そうですそうです、わかりにくくてすいません。自分、男です!」
とのこと。でも、なんで『あず姉』なんて女性っぽいコスプレネームなのだろう。ハッ・・・もしやおねぇ的な?
「No!!!おねぇでもありません。大学生の時に女性向けの雑貨屋で物色しているのを友人に見られてしまい、そこから『あず姉』って付けられてしまったんです。それが高校の頃の友人に広まっていって、後に引けなくなってしまいました。この名前もあってから、コスプレするキャラもこんな感じになってしまったんです」
印象って恐ろしい・・・コスプレネームにこだわりを持っている人も多いだろう。横文字だったりアルファベットだったり、若干の言葉遊びを取り入れる。
【ルパン三世】ルパン三世(カメラマン:あきら/@hakutaku091)
【目の毒すぎる職場のふたり】本郷 丞(カメラマン:玲猫/@Thehatte_alice4)
「そう、本当はもっとカッコいいのにしたかった・・・でも、すでにコスプレイヤーじゃない友人にも『あず姉』が浸透してしまっているんです。身長が185cm、この図体で『あず姉』ですからね。もう諦めています」
う、うん・・・でも『あず姉』って語感もいいし、親しみやすいし良い名前だと思います!!
「絶対に職場にはバレないように死守していますよ!」
工作が好きで頼まれた小道具製作がコスプレに目覚めたきっかけ
というわけで大学時代、コスプレを始めるとともにアンバランスなコスプレネームとの付き合いも始まったあず姉さんだが、最初はオタク文化にそこまで足を踏み入れてなかったそうだ。
「高校の頃に演劇部で、小道具を作ることが多かったんです。赤ちゃんの顔とか地蔵の顔とか(笑)。その流れで、もともと工作が好きなのもあって、コスプレイヤーの友人に進撃の巨人の立体機動装置を作ってくれって頼まれました。そこでアニメを見て、どんどんコスプレの沼にハマっていったんです」
【A3!】伏見 臣(カメラマン:玲猫/@Thehatte_alice4)
服としての機能を捨てた二次元の具現化
好きこそものの上手なれとは言うものの、あず姉さんの衣装を見ると「そこまでする!?」というこだわりが散りばめられている。中でも特筆すべきがインタビュー時にも纏っていた黒執事のキャラクター、グレル・サトクリフの衣装だ。
【黒執事】グレル・サトクリフ(カメラマン:cozy/@cozy1215)
「画集などを見て研究するのはもちろんですが、絵よりも立体を参考にしますね。フィギュアを観察して2次元から3次元に起こした時にどうなっているのかを考えます。このコートは、袖も全部通らず服として機能しないんですが、キャラクターのコートの着こなしを再現した結果、こうなってしまったという・・・」
おおぉ、なるほど。おっしゃる通り二次元を三次元にした時に、現実に寄せるか作品に寄せるかという葛藤はコスプレイヤーなら誰にもあるはず。そこをあえて三次元の当たり前な機能性を捨てきったのは潔い。
【西ノ虎さん(@tortor2824)創作キャラ】オスカー・ガルシア(カメラマン:あきら/@hakutaku091)
「こだわりはそれだけではなくて、ベストのボタンの部分も生地の柄がズレないようになっていたり、ベルトを通すと不格好になるので、あえて自分の体型ジャストで作っています。なので、少しでも太ったら着れないんですよ。また、気になったところは何度も何度も作り直しているんです。今日もインタビューのためにリボンと腕の革の改良をしてきました」
一度作った衣装を常にアップデートし続ける・・・それも作品やキャラクターへの愛だ。まさにじっくりことこと煮込み続けたスープのようで、それこそが個性だといっても過言ではない。
【銀魂】坂本 辰馬(カメラマン:にっしー/@kaorunisi)
ビーズ一つ一つから再現するこだわり
「他にこだわった衣装といえば、ミュージカル『キンキーブーツ』のドラァグクイーンのローラです。この真っ赤なドレス、ビーズ一つ一つを布に貼り付けて縫い合わせているんですよ。公演を見て、この衣装を見た瞬間に作りたいって思ったんです。またミュージカル中に出てくるローラの他の衣装も欲しくなってしまい、勢いで6着作ってしまいました(笑)」
1つのキャラクターへのこだわり・・・いや、執着がものすごい。
舞台【キンキーブーツ】ローラ(カメラマン:あきら/@hakutaku091)
ステキな写真はカメラマンさんのおかげ!!
「写真をアップすると「ステキですね」って言ってもらえることもあるので、こだわって良かったなって思えますね。でも、その「ステキ」と思ってくれた写真は、自分だけでは撮れないものなんです。むしろ、カメラマンさんのおかげなんですよ!!なのにコスプレイヤーばかりが注目されてしまうのが、なかなか納得できなくて」
確かに写真を見る側の人間からすれば、カメラマンさんは裏方である。写真の被写体こそが花形で、それがコスプレイヤーさんという認識を持たれるのも仕方ない。
【ヲタクに恋は難しい】二藤 宏嵩
(桃瀬 成海コスプレイヤー:ぴの太郎、カメラマン:ぴの太郎/@PINO_pinotaro)
「と言ってもですね、カメラマンさんはもっともっと注目されるべきだと思うんです。私が懇意にしてもらっている方とか、自分がいくら汚れようが、本当に良い写真のために何も顧みずに撮ってくれている。コスプレイヤーの100%のテンションに対して120%で返してくれる。だからこれからコスプレ写真を見る時は、皆さんカメラマンにも注目してください!」
コスプレイヤーとカメラマンは「二次元を三次元で表現する奇跡の一枚」を撮影するために、一心同体だ。関わる人全てが全力で持てる技術や熱をぶつけ合い、作品の質を追い求めているということを再認識させてもらったインタビューだった。
【銀魂】あずみ(アゴ美)(カメラマン:あきら/@hakutaku091)
【地獄楽】典坐(カメラマン:あきら/@hakutaku091)
●あず姉
Twitter:@jag_alskar_cos
Instagram:jag_alskar_cos
【鬼滅の刃】妓夫太郎(カメラマン:あきら/@hakutaku091)
Follow @doujinworld
Writer
佐藤志郎
2010年に広告制作会社を立ち上げる。主要な取引先は通信販売会社であるため、得意分野はダイレクトレスポンス広告。