2020.04.16
海外でも通じる?「Eshi」とは一体・・・
同人の世界に、また新たな世界基準の言葉が誕生
「Manga」「Otaku」「Cosplay」「Moe」などなど、同人文化発祥の日本語は、(意味が若干異なるとしても)海外でもそのまま認知されていることも多い。そして今、海を越えて徐々に海外オタクの中で広まっている言葉が「Eshi」だ。
実際、このスケールだけではわからないという人もいるだろう。
答えは『絵師』である。
我々の調査によれば、海外オタクのおよそ3割が「Eshi」という単語を聞いたことがあるということがわかった。
※調査対象:アメリカ・フランス・イタリア・中国のオタク男女計30名
もともと『絵師』とは、日本固有の浮世絵などをの原画を描く人を指す言葉であった。同様の言葉では『画工』や『画師』なども存在し、日本の歴史書である「日本書紀」にも、度々記述が見受けられる。しかし、徐々にこうした伝統が失われていく中、言葉は本来の意味を変え、明治時代以降になると日本画だけでなく西洋画を描くアーティストにも用いられるようになる。
オタクの世界で『絵師』という言葉が使われるようになったのは、1980年代後半から。同人作品の挿絵やキャラクターデザインなどを担当する人を指すイラストレーターのような立場だ。『師』という文字は『勝負師』『仕事師』を連想させ、古めかしいニュアンスと職人気質なイメージが合致したからこそ広まったのだろうと推測されている。
しかし、もともとは先述した通り日本画の歴史的な巨匠に使われていた言葉で、尊敬の念が込められている。『同人』というサブカルチャーの分野において、いちイラストレーターにその敬称を用いるべきではないという層も少なからず存在しており、物議を醸している。そのため『絵師』呼ばれる有名イラストレーターは自ら『絵師』と名乗らず、『絵描き』という表現を使う場合も多い。自ら『絵師』と名乗る場合は、底辺絵師やヘタレ絵師、見習い絵師など、自分を卑下することが一般的となっている。これぞ自分を抑えて消極的な日本人ならではの特徴だと言えるだろう。
『〇〇絵師』などのジャンルが分かれる場合もある
一言で『絵師』と言っても、得手不得手が存在する。例えば、美少女アニメキャラクターばかりを描く人は『萌え絵師』と、少女・幼女を中心としたイラストを描く人を『ロリ絵師』と呼ぶ。もともとが浮世絵原画を描く人を『絵師』と呼ぶだけあって、時代とともに同人の世界においてこうしたジャンル分けがされていくのは、当たり前の風潮なのかもしれない。
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Writer
佐藤志郎
2010年に広告制作会社を立ち上げる。主要な取引先は通信販売会社であるため、得意分野はダイレクトレスポンス広告。