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2020.04.14

同人の先に利益なし?「販売」は一切しておりません

同人誌即売会でいろいろ買っても「客」じゃない

 

もしかして・・・「わーい、お目当てのサークルの新刊、買えたー!」なんて言ったことはないだろうか。

 

 

ちょっと待ってほしい。同人とは「志を同じくした者たち」である。そのサークルに加入してようとなかろうと、共感・共鳴できるのであれば「オレたち同人」だ。つまり、販売・購入という「生産者と消費者」の関係は成り立たないのである。

 

 

そこで、主な同人誌即売会においては、原則的に同人サークルが取り扱っているものは「商品」ではなく「配布物」であり、「販売」ではなく「頒布(はんぷ)」とされている。実際、物は言いようではあるし、『コミックマーケット』も同人誌即「売」会として紹介されることが多く、矛盾を感じる点もある。しかし、同人誌即「売」会には、お客さんとして来店してはいけないのだ。あくまでも同人誌即「売」会の参加者の一人というカタチなのである。

 

 

さて、頒布という言葉はなかなか聞き慣れない人もいるだろうが、どんな意味を持っているのだろうか。辞書で調べてみると「広く分けて配り、行き渡らせること」とある。なるほど・・・「オレたち同人の志・主張をどんどん広めていこうぜ!そのためにかかった費用、ちょっとでも分担しようぜ!」という名目の書籍代やグッズ代ということになる。であれば「頒布」なんてわかりにくい言葉ではなくて「配布」でいいんじゃないの?ともなりそうなものだが、この場合は「誰彼構わず片っ端から配っていこう!」となってしまうのでふさわしくない。

 

 

「販売」でもないし「配布」でもない・・・「頒布」とは、その程よい中間の言葉だったからこそ、用いられるようになったのだろう。

 

 

ちなみに、同人誌即売会以外で頒布という言葉が使われるのは、例えば神社のお守りや御朱印など。確かに・・・これらも「販売」ではない。「初穂料」などという名目で神様にお納めするものである。

 

 

法的には営利活動だが、志は捨ててはならぬ

 

あくまでも同人即売会は、サークル参加者も一般参加者も「平等にみんなで参加して楽しむイベント」である。同人活動は販売を目的としておらず、志や主張をカタチにしたものを頒布しているだけだから非営利。とは言っても、法律は甘くはない。どんなカタチであれお金のやり取りをする場合は「営利活動」をしてみなされてしまう。最近では同人誌やCDなどが手軽に制作できるようになったため、実費とはかけ離れた「値段」をつけて利益を上げ、お金儲けのために同人誌即売会に参加するというサークルも増えていると聞く。

 

 

また、頒布物を「販売」する「売り子」、その対義語として「買い子」という言葉も一般的になってきた。

 

 

せっかくの「頒布活動」がただの言葉遊びとなった時、同人文化は消滅してしまい「アマチュア団体の販促活動」と成り下がってしまう。イベントに集まる参加者一人一人が気を引き締め、一層の発展に望んでほしい。

 




Writer

佐藤志郎

2010年に広告制作会社を立ち上げる。主要な取引先は通信販売会社であるため、得意分野はダイレクトレスポンス広告。


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