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2020.10.23

初心者コスプレイヤー、イベント初参加の一日(前編)

 

 

今回は筆者の実体験をもとに、コスプレ初心者のイベント初参加体験をイマジナリーオタク女子に語ってもらいました。社会情勢の影響で現在のイベントと異なる点もありますが、雰囲気だけでも味わってもらえたら幸いです。

 

 

 

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はじめまして!私、その辺にいる二次元オタク大学生!少し前から家でコスプレ…宅コスって言うのかな?を始めて、Twitterに写真あげてこっそり楽しんでたんだ。ようやく色々話せる先輩レイヤーの友人が一人できて、その子から「一緒にイベント行こう!」って誘われて、そわそわしながら前日になっちゃったわけ。

 

友人に教えてもらった通りに荷物を用意したけど、これ絶対リュックじゃ入らない量だわ…(押し入れからキャリーケースを引っ張りだす)。衣装とウィッグとメイク道具の他に、スタンドミラーやメイク落としシート、露出対策用のストッキングやスパッツはまだわかるけど、安全ピンと両面テープと水のり…会場で工作でもするの?

 

今からわからないことだらけでも、何となくうきうきしてる自分がいる。キャリーに詰まったもの一つひとつが私だけの変身アイテム。これまで自宅で一人で自撮りするのだけがコスプレだったけど、明日はレイヤーさんがたっくさんいる場所にいって、お話ししたり、一緒に撮影したりできるんだもん。会った人達に渡すキャンディも用意してみたり。しっかり準備して布団に入ってもなかなか寝付けなかったり。なんか遠足の前日を思い出しちゃうなぁ。

 

さあ当日、ぴっかぴかの快晴!キャリーが地味に重かったけど電車に乗るのギリギリ間に合った…。大荷物に周囲の視線が刺さって心細くなっちゃうけど、Twitterに目を落とすと相互フォローの知り合いも同じイベントに向かっているみたい。会場で会いましょうってリプを送るうちに、ちょっと心があったかくなった。

 

 

最寄り駅で友人と待ち合わせてイベント会場へと足を進めると、キャリーを引く人たちで通りがいっぱいになってくる。目的を同じくする人々がひとつの場所を目指して歩んでいく光景…アベンジャーズのワンシーンみたい、テンションあがってきた!!

 

イベント会場の建物に無事到着。ざっと数百人はいる行列に早速テンパっている私に友人が「おしゃべりしてればすぐだよ~」と和ませてくれる。その通り列はサクサク進み、数十分で受付まで終えてしまった。

 

私「これだけの人数、更衣室だけで会場埋まっちゃうんじゃないの?」

 

友人「大丈夫大丈夫、入ればわかるよ!」

 

スタッフさんに更衣室に通された瞬間―なるほど、完全に理解した。

 

 

床と壁と照明しかないだだっぴろい空間に、大荷物の女性たちがきっちり横並びで座っている。テープで区切られた高校の教室くらいのスペースに100人は収まるコンパクトさ、まさに寿司詰め状態。異様だ、異様すぎる…!お隣さんとほぼゼロ距離とかソロ参加ならキツかったよ、友達に感謝。

 

自分のスペースを確保して、キャリーケースの上にスタンドミラーを置けば即席ドレッサーの完成。家でやっているみたいに順調にメイク…といくはずが、前の列のレイヤーさんたちが何のキャラにコスプレするのか気になって仕方ない。だってこんな殺風景な部屋で何百もの人が変身していく様子ってなかなか面白くない?きょろきょろするんじゃないよって友人に突っつかれて、慌ててメイクポーチを開いた。

 

焦っているとうっかりミスは簡単に起きるもので、

 

私「衣装の袖、アイライナーで汚しちゃった!」

 

友人「メイク落としシートでぎゅっと挟めば大丈夫」

 

私「移動中で帽子の飾りが取れちゃった!」

 

友人「両面テープ使えば楽勝だよ~」

 

私「スカートのファスナー、壊れちゃったかも…。」

 

友人「そんなときの為の安全ピンだよ!」

 

なるほど、知らずに持たせてくれたアイテムたちは転ばぬ先の杖だったんだ!ちなみに友人は顔に直接水のりを塗ってウィッグの毛を貼り付けて次元が違うなぁ、と思った(輪郭を隠したり髪型を原作に近づけるためらしい)。

 

やっとの思いで準備を終えた私たち2人。クロークに荷物を預けて撮影スペースへと向う。今日のコスプレは、2人組アイドルアニメのステージ衣装。所謂「併せ」というやつだ。内心「やば…AちゃんとBちゃんが並んで歩いてる…エモい…!!!」という感情が爆発しそうなのを必死で抑えながらも、ついつい浮足立っちゃうのがオタクの性なのだ。

 

屋内撮影スペースに一歩足を踏み入れた瞬間、私の中のコスプレイベントのイメージが音を立ててメガ進化した。そう、ここは古今東西あらゆる作品のコスプレイヤーと無数のカメラマンがひしめき合うカオス空間!目にも眩しい色とりどりのウイッグや衣装、鳴りやまない一眼レフのシャッター音、遠くから聞き慣れたアニソンも聞こえてくる。こんな場所、楽しいことが待ってないわけがない!!期待で胸をいっぱいにしながら、2人は人混みの中へ飛び込んでいった。

 

 

(後半へ続く)

 

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Writer

KAMOMI

管理栄養士にしてコスプレイヤーの新人ライター。得意分野はコスプレを主とするオタク文化、食物・栄養関連。


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