2021.10.02
【鍛冶師:ナガレ】究極の一振りを求め続けて・・・
好きな武器はなんだい?
槍?斧?・・・トンファーとか言っちゃう人もいるだろう。しかしだ、やはり武器といえば剣である。大剣、片手剣、刀・・・などなどその形状は実に様々で、多くの少年たちを魅了してきた。
そんな剣を約十年打ち続けてきた男がいる。鍛冶師のナガレさんだ。
鍛冶への情熱を語るナガレさん(カメラマン:cozy/@cozy1215)
「幼少期から何か物を作ることは好きで比較的得意でした。オリジナルの設定なんかを考えるのも子供の頃からやっていましたね。それが講じて、舞台美術を専攻し、剣を作るようになったんです」
というのは、中の人としての経緯である。完全一次創作キャラクターのナガレさんとしても様々な背景が設定されているそうだ。
ダンジョンを探索中をナガレさん
頭の中の1本を具現化する鍛冶工程
「鍛冶師で剣士・・・この設定は、ダイの大冒険のロン・ベルクというキャラクターに憧れてできたものでした。自分がオリジナルのキャラクターだから、作る剣ももちろんオリジナルです。ただ、本当なら作る時の設計図が必要なんだと思いますが絵が描けないので・・・今まで触れてきたマンガなどに出てきた武器を思い出したりしてアイデアを閃くことが多いです」
なんと・・・頭の中にあるものをそのまま具現化しているとは驚きだ。それでここまで精巧なデザインになるのだろうか。
「なので、作りながら「自分の頭の中の剣ってこうなっているんだ!」って発見したり、新しいアイデアが生まれてくることも多いんですよ。自分では知らなかった細かい造形部分も、カタチにする工程の中で付け足していくんです。正直、設計図を書いてる時間があるなら、最初から作ってしまったほうが早いので。ただ、人に頼まれて作る時は、ラフとも言えない落書きレベルのモノは見せますけどね(笑)」
宿屋にて休息中のナガレさん
そして作り上げた剣・・・実際、剣である。例えばコスプレイヤーさんなら、自分で作った衣装を自分で着て撮影して、写真として残すことは最終目的の一つである。しかし、鍛冶師ナガレさんの剣作りの目的が見えてこない。
「写真にも残すことはしますよ。コスプレイヤーさんに自分の作った剣を持ってもらい、撮影したりもします。あとは、自分で持ったりですかね。でも、撮影にも使用してない剣もあったり・・・」
まさに剣を打つために生まれてきた根っから鍛冶師のキャラクターである。
炎魔剣『オールシャルール』
剛剣『カーマイン』
自分の剣への葛藤とは?
「ただ、ここまで作り続けていると、いい意味でも悪い意味でもデザインでナガレらしさが出てしまうんです。簡単に言うと、自分で見て飽きる。完成したものを眺めて、あ~自分らしいなって思ってしまうのが苦しかったりもするんです。だから、僕が作ってるのにナガレが作ってないという設定の剣もあるんですよ。オリジナルキャラのナガレのストーリーに関わらない、どっかの誰かが作ったり、どっかの宝箱に入っていたような剣。ナガレとしての鍛冶に煮詰まったら、そうやって別の他人として作るようにしています」
なるほど、実は以前に役者としての経験もあるナガレさんらしい発想だろう。
銃剣『ヴェルメブリッツ』
「一次創作としてのキャラクターの強みですよね。設定を盛っても誰にも何も言われないですから(笑)。だからナガレは都合の良い設定が急に増えたりなんかもするんですよ。ナガレとして剣を作った後に、でも「オレの剣じゃないな・・・」って思ったら、他の設定の人物の作品にしたりもします」
そ、それは確かに都合がいい・・・。それにしても剣ばかりを作り続けていたら、さすがにアイデアも枯渇しないだろうか。
宝刀『レーゲングランツ』
魔剣を喰らう魔剣『ヴァルミリオン』
鍛冶師としての最高峰を目指す
「この世に存在していない剣や武器のカタチなんてあるのかな・・・って思うほどに、いろいろな作品でいろいろな武器がありますから。完全にオリジナルのものを作り出すって難しいですよ」
確かに、ゲームやマンガ、アニメの武器を見ると、色も形状も、かなりの「それは剣として機能するのか・・・」というものもたくさん出ている。もはや武器としての剣のアイデアは飽和状態にあると言えるだろう。そんな現代、ナガレさんの最終目的はなんなのだろう。
ナガレさんの別装備。一次創作だからこそ、既成概念にとらわれずキャラクターを成長させることができる。
呪いの影響で右眼と頭髪が変色している
「鍛冶師としての最終目標は、究極の剣を作ることです」
なるほど・・・その一振りは鍛冶師としての夢だ。それを追い続け、これからも独創的な剣を打ち続けてほしい。
●ナガレ
Twitter:@NagareKoji
和風装備を身に纏い、必殺技を放つ瞬間
ナガレさんの工房にはたくさんの剣が飾られている
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Writer
佐藤志郎
2010年に広告制作会社を立ち上げる。主要な取引先は通信販売会社であるため、得意分野はダイレクトレスポンス広告。