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2021.10.16

【マンガ家:トナミショウ】おっさん×少女の伝道師が語るマンガ道

 

 

おっさんが読んでもキュンとするハートフルな組み合わせ

禁断の愛・・・というと、本当に禁断のアダルトなあれやこれやを想像するかもしれないが、もしそんなことを感じた諸兄らは、背筋を正せ。

 

おっさん×少女のハートフルなストーリー、これもまた愛の形のひとつだろう。そんな物語を紡ぎ出すマンガ家さんといえば、トナミショウ先生である。

 

「マンガを描き始めたころは少年マンガしか知らなかったので、バトルもので少年が主人公の作品を描いていました。ただ、自分の中でどこかしっくりこないところがあって・・・。少年マンガは好きなのですが、いざ自分が描く!となると少し違うのかなと」

 

そんな葛藤の中…トナミ先生がこれだと思ったのが、おっさん×少女だ。

 

「同人誌のイベントに出たり、いろいろな作品に触れていくにつれて、マンガには少年マンガ以外にも様々なジャンルの作品があると知りました。その後、いくつか作品を描きましたが、その中でも特に『おっさん×少女』は一番自分にハマったという感覚がありましたね。もともとファンタジーが好きなので、今は好きなものを掛け合わせて作品を描いています」

 

そして今、COMICポラリスで絶賛連載中のマンガが『もしも首輪がはずせたならば』である。

 

10/15に第一巻が発売されるぞ!!詳しくは次のURLをチェックだ。

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奴隷のおっさんと、主人の少女。2人の日常は「愛とは無償である」ことを思い出させてくれる。

 

 

 

表情とは顔だけに表れるものではない

それにしてもトナミ先生のマンガを眺めていると、キャラクターたちの表情が実に豊かなことがわかる。セリフを読まなくとも、どんなシーンでどんな感情が交錯しているのか一目瞭然だ。

 

「ありがとうございます。やっぱりキャラクターの表情には気を使っていますね。表情と同じくらい、手もこだわって描いています。例えばおっさんであれば、日々の労働のつらさが手に出たり、少女であればやわらかさだったりを意識していますね。あと、手って意識外で動く時があるので、それを含めて表情だと思っています。なるべくコマ内に手が入るように描いてます」

 

おぉ、そう言われて手の描写に注目すると「あ~わかる!!こうなる!!」と納得させられてしまう場面が多い。

 

『もしも首輪がはずせたならば』1話

 

 

 

アナログだからこその線を描き続ける

「せっかく手にとって読んでくださるものなので、細部まで気を抜かずに描くのが礼儀だと思っています」

 

さすがプロフェッショナル。衣服のデザインや背景など、しっかり描き込まれているのにじゃまになっていない。

 

「それは、今でこそ・・・ですけどね。昔、出版社に持ち込みをしていた頃は、原稿が本当に見にくいってダメ出しばかりされていました。その時に編集さんや他の作家さんからとても勉強させてもらって今があります」

 

『もしも首輪がはずせたならば』5話

 

なるほど、やはり絵には練習がつきものなのである。ちなみにトナミ先生の絵柄は、いい意味でほのぼのとした世界観が伝わってくるのだが、この秘訣は何なのだろうか。

 

「ネームとかトーン作業はデジタルなんですが、ペン入れやベタ塗りなどはアナログなんです。以前、背景もデジタルで描いていたことがあるんですが、今はアナログに戻しました。これは私の技術の問題かもしれないんですが、デジタルで描くとアナログの線が出せなかったんです。違いを説明するのはなんとなく難しいんですが、う~ん・・・自己満足の世界かもしれませんね」

 

トナミショウ先生の作画風景。線画とベタまではアナログで描いている。

 

しかし、こうした我々素人にはわからないくらいの1本1本の線の違いが作品としての質に影響するのだろう。また、物語と絵柄がマッチしているのも世界観の秘訣のひとつではないだろうか。

 

「絵を描くのと物語を考えるのはセットなんです。その作品の世界観があって、文化が生まれて、その中でキャラクターたちが動いて話して、その脳内のイメージをそのまま絵に出力するって感覚です」

 

よくいう「キャラがひとりでに~」というやつだろうか。マンガ家さんでないと共有できない感覚かもしれない。

 

「キャラの設定は、最初の段階で細かく決めすぎないようにしています。ネームを描きながら、このキャラはこんな感じだろうって担当編集さんと話をしていくうちに、少しずつ出来上がっていきます。担当さんとの信頼関係で成り立ってますね(笑)。ただ、そのキャラが住む家とか、その周りに生えている植物とか、上下水道はどうなってる?とか、舞台の設定は最初にしっかり決めた方が後々その世界を描きやすくなるかもしれません」

 

『もしも首輪がはずせたならば』3話

 

 

 

楽しむことが何よりも大切

絵柄はもちろん、その世界を彩る細かいオブジェクトひとつひとつにも気を抜かないトナミ先生。これからマンガを目指す人たちに何かアドバイスがあるとしたら・・・?

 

「まずは楽しむことを忘れないでほしい。絵を描くことを仕事にしたら、もしかすると楽しいことだけではないかもしれません。でも、そんな中でも楽しむ気持ちを忘れなければ、読者さんも付いてきてくれるはずです」

 

トナミショウ先生のアナログ着彩風景

 

確かに商業ベースでマンガやイラストを描くことは、自分の好き勝手にできないかもしれない。しかし、それでも楽しんで描くことが作品のクオリティを上げるために欠かせないのだろう。まさにトナミ先生の描くキャラクターの表情を見ればそれが伝わってくる。最後にマンガ家として今の目標などを伺った。

 

「自分の作品がアニメ化すると嬉しいなと思っています。そのためにもまずは1話1話、読者の皆さんに楽しんでもらえる作品をしっかり作っていきたいです」

 

いつかトナミ先生のマンガをテレビで見ることを心から願っている。

 

 

●トナミショウ

 

Twitter:@tonami_nemui

 

Instagram:oekaki_tonami

 

webサイト:https://tonami-info.wixsite.com/g-drops

 

『もしも首輪がはずせたならば』タニアとウィリアム

 

 




Writer

佐藤志郎

2010年に広告制作会社を立ち上げる。主要な取引先は通信販売会社であるため、得意分野はダイレクトレスポンス広告。


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