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2021.06.12

【イラストレーター:sheepD】壊れそうな儚いイラストの裏側にあったもの

 

 

 

怖さを感じるほどの儚さの理由とは?

頭で理解するよりも、心にくる絵ってありますよね。ただ見るだけで気持ちが高揚したり沈んだり・・・。もちろん技術もすごいんだろうけど、それ以上の絵の裏に隠された背景。

 

私たちはsheepDさんのイラストを拝見した時、素直にこう思ったのです。

 

「なぜかせつない・・・」と。

 

とてもキレイな色彩と線で、思わず「すげぇ!!うまい!!」って頭で理解してるはずなのに、なぜか壊れそうな怖さや儚さを感じました。そのため、今回のインタビューの文体は今までのようなイケイケアゲアゲではなく、しっとりと書き上げたいと思ったんです。

 

pixiv「百合イラストコンテスト」pixiv賞入賞作品

 

「私は主に百合絵、百合マンガを描いています。おっしゃる通り、私の百合は切ない系ですね。人によってはイラストの登場人物がどっかいっちゃいそうって感じるかも。百合の明るい恋愛を描いていたとしても、そこは2人の隔絶された世界でもあるわけなので」

 

と話すsheepDさん。確かにそう、イラストの登場人物がカメラ目線なのに目が合ってる感じがしないんです。私を透かして、私の後ろを見ているような、そんな感覚に陥ります。sheepDさんの言う隔絶された世界、そこに私はいないんだ・・・と認識させられます。

 

pixiv「百合イラストコンテスト2」pixiv賞入賞作品(表参道のpixivギャラリーに飾られたという一枚)

 

「もともとは萌え絵を練習していたんですよ。でも、目がおっきくて可愛らしく描こうとすればするほど、どうにも自分のバランス感覚と違うなって思って諦めちゃいました。その時、自分は何を描きたいんだろうって見つめ直した時の結論が制服を着た女の子同士の百合絵だったんです。自分的に百合をやっていくと目覚めた瞬間でした」

 

もしかすると一般的には「なんでやねん!!」ツッコミたくなるかもしれません。しかし、sheepDさんの生い立ちを知ると、不思議と納得させられます。

 

「私、子供の頃はミッションスクールに通っていたんですよ。小中高と女の子だらけの世界。学校内は外と隔絶されていて、男性は一切干渉してきませんでした。本当に「シスター、ごきげんよう」のような場所です。きっと今のような絵になったのは、その頃の影響なんでしょうね」

 

百合オリジナルイラスト

 

 

 

時代の進化に驚く

ではsheepDさんは、いつ頃から絵を練習し始めたのでしょうか。その軌跡を追ってもらいましょう。

 

「小さい頃から絵は好きだったんですよ。でも美術部とかには入らなくて、ずっと運動部でした。高校の頃は友達と同人誌を作ったりはしましたが、進学して就職してOLやって、いつの間にか脱オタ状態。ただ、時間もできたのでなにか趣味でも見つけようかなって思った時に、そう言えば昔よく絵を描いていたなぁって思い出したんです」

 

久しぶりにペンを握ったsheepDさん。やはり子供の頃に培った感覚は体に染み付いていました。

 

「本当にテキトーにとりあえず・・・で描いてみたんです。そしたらなんとか人型になって(笑)。あ、これはまだ大丈夫!って思ったんですが、昔と全く違っていたのが絵を描く環境です」

 

アナログイラスト

 

 

以前はGペンなどで紙に描くのが当たり前だった時代・・・しかし、今はテクノロジーがどんどん進化し、デジタル絵が主流になっています。

 

「今はパソコンで描くんだ!!って本当に驚きました。デジタル世代のイラストレーターさんの絵は、すごい華やかですしね。私は・・・タブレット上でアナログの描き方をしています。デジタルについていけない(笑)」

 

しかし、それもまた武器の一つだと言えるのではないでしょうか。ペンで紙に描いてきたsheepDさんだからこそ、きっと自身の経験も絵に投影されるのです。

 

sheepDさんのデスク上のアナログ画材

 

 

 

ファンに会えるのは作者にとって一番のご褒美

今ではゲームの原画なども手掛けるようになったというsheepDさんですが、同人活動も続けられているそうです。

 

「去年からの新型コロナウイルスで、どうしても同人イベントが少なくなってしまいますよね。通販っていう便利なものもあるけど、でもユーザーさんの熱はイベントで顔を合わせるからこそ温度を保ってられるって部分もあると思うんです。私たち描き手も、わざわざイベントで人混みをかき分けて自分の元にきてくれるってすごい嬉しいですし、私の作品を求めてくれるって感動しますよね」

 

百合オリジナルイラスト

 

そう、今の時代、同人イベントは苦境に立たされています。作る側・求める側は、やはり好きなものを直接共有できるからこそモチベーションを高めることができ、さらに良い作品が生まれるもの。早く何の気兼ねもなくイベントを楽しめる日が来てほしいと願わずにいられません。

 

オリジナルイラスト

 

 

 

アナログだからこその技術をデジタルで活かす

最後に、sheepDさんのイラストはこれからも百合を追求していくのかを伺ってみました。

 

「私の百合は昔ながらのクラシックな部分が多いので、実は作品を手にとってくださる方はちょっと年齢層高めの男性が多いんです。もちろん女性もいらっしゃいますけどね。そんな百合の世界をこれからも貫いていきたいですし、デジタルな絵でも一点モノのアナログのように思ってもらえる作品を目指していきます」

 

百合オリジナルイラスト

 

便利なデジタル技術が進歩する反面、アナログ感も注目され始めた昨今。sheepDさんはあえて時代をさかのぼり昔ながらの絵を描くための道具を購入したそうです。これからも儚い百合の世界を見せていただけることを期待しています。

 

sheepDさんの作業環境

 

●sheepD

Twitter:@sheepD_

pixiv: https://t.co/0mMdAqDBQX?amp=1

WebSite: https://t.co/sRJoEnemjP?amp=1

 

実在した学校の制服イラスト

 




Writer

佐藤志郎

2010年に広告制作会社を立ち上げる。主要な取引先は通信販売会社であるため、得意分野はダイレクトレスポンス広告。

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